国際福祉機器展シンポジウム

国際福祉機器展 箏回想法🄬

国際福祉機器展シンポジウム参加

https://hcr-symposium2019.peatix.com/
国際シンポジウム「認知症高齢者にやさしいまちづくり~その実践と、アートを活用した支援にみる可能性~」/Symposium: Building a City Friendly to the Elderly with Dementia -Actual practices and possibilities of support using art

箏回想法は東日本大震災をきっかけに福島県郡山市で誕生した箏を用いた音楽療法です。アートを活用した支援を続けている箏回想士にぴったりのテーマということで、出かけて参りました。

シンポジウム登壇者

マリア・パシェチュニク・パーソンズさん(Creative Dementia Arts Network 理事)
Maria Pasiecznik Parsons(Chief Executive,Creative Dementia Arts Network)
による
「明日が楽しみー参加型アートを用いた介護施設入所者の健康・福祉向上」
“Something to get up for?”Using partcipatory arts to improve the health and wellbeing in residential care and nursing homes
という講演を拝聴しました。

大変わかりやすく、興味深い内容のプレゼンテーションであっという間の時間でした。
内容のシェアは全部は出来ませんので3点、そのあとに印象の強かったこと・課題・可能性について記しておきます。

講演内容

介護施設でのアート:何を・誰が・どのように

何を
・アートクラフト
・デジタルアート、アプリ、VR
・写真
・音楽、歌唱
・ダンス、運動
・ドラマ(演劇)
・リーディング、ライティング
などがあり、特に音楽は大きな効果があるそうです。

誰が
認定を受けたアートセラピストが行うそうです。それから、プロのアーティストが認知症向けに実施時間を短くしたプログラムを準備し、実施することもあるそうです。

どのように
アート及び文化活動
・美術館
・ギャラリー
・公園・庭園
・宮殿
・城郭
・劇場
・コンサートホール
・映画館
などがあり、介護施設の方々が出かけることがビジネスとして成り立っている。またそうしたパートナーシップが構築されているそうです。

高齢者にとってのアートのメリット

・関係づくり
・コミュニケーション
・身体的健康の増進
・選択や自己決定の拡大
・自我や自尊心の強化
・退屈、抑うつ、不安、動揺の軽減
・孤独や社会的孤立の軽減
などが挙げられていました。中でも同じアクティビティーを体験することが関係づくり構築に役立っているそうです。

なぜ介護施設でアートか?

政府の政策、専門的指針では、次の3つに力を入れることを提言しているそうです。
1、まず人物を見る
高齢者、特に認知症高齢者に対する認識の変化
2、効果がある
参加型アートや文化活動の効果が科学的に証明されている
3、アート拠点
美術館、ギャラリー、劇場、コンサートホール、映画館に新しい(高齢の)観客や訪問者を増やそうとする動き

以上が内容の一部抜粋です。

印象に残ったこと

ビジュアルに訴える

音楽の効果について、動画をみせてくださいました。
内容については割愛しますが、音楽を活用した支援のビフォーアフターを拝見しました。その変化に大変感動いたしました。

革命的な取り組み

衝撃的だったのが、「社会的処方箋」の取り組みです。
薬やその他の療法で直らない場合、医者が高齢者個人に対して「森林浴」「音楽」などアート活用を促すような処方箋を出すそうです。

課題

資金集めが課題

どの施設でも資金集めは課題だというお話しを伺いました。
この点においては、私自身解決策を施設へご提案できそうです。箏回想士は音楽療法の実践だけでなく、実践内容の見せ方を工夫することで、施設への集客に貢献できる内容です。
今後機会を作ってご提案できれば、今回の素晴らしいご講演への恩返しになるのではないかと感じました。

箏回想法の可能性

アート:介護実践への教訓

・私をもっとよく見て。私の経歴や関心、嗜好を知ってほしい。
・私がずっと生き生きと暮らせるようにしてほしい
・私の自律性を尊重する選択肢を提供してほしい
・私が覚えている記憶を呼び覚ましてほしい。
・不安や動揺、気分の落ち込みを和らげるアクティビティを提供してほしい。
・社交の機会を与えてほしい。
・言葉が通用しないとき、あらゆる感覚を使って想いや気持ちを伝えられるようにしてほしい。
・明日が楽しみになる何か、生きる価値があると思わせてくれる喜びや楽しみを与えてほしい。
・アートを提供してほしい。

これらの教訓が挙げられていました。

ここで感じたことは箏回想法の可能性です。
・私をもっとよく見て。私の経歴や関心、嗜好を知ってほしい。
→箏回想法実施前は参加する方の出身地・趣味嗜好・経歴・病歴に至るまでを打合せ、対話する内容発問を決めていきます。全ては、こちらが一方的に箏回想法を実施するだけでなく、参加する方に寄り添いたい思いからです。

・私がずっと生き生きと暮らせるようにしてほしい。
→箏回想法実施の中で、ご自身の輝かしい過去を思い出したとき(お話ししたとき)のイキイキとした口ぶりや目を知っています。明日への希望に溢れた表情が見られます。

・私の自律性を尊重する選択肢を提供してほしい
→こちらがあらかじめ決めているプログラムはありますが、その限りではなく、参加する方の反応を見ながら内容を変えていきます。参加者主体の箏回想法でありたいという思いです。

・私が覚えている記憶を呼び覚ましてほしい。
→箏回想法は覚えている記憶にフォーカスしたものです。記憶とともに、今生きていることへの感謝を感じて終えることが出来ます。

・不安や動揺、気分の落ち込みを和らげるアクティビティを提供してほしい。
→高齢になればなるほど未来の話よりも過去の輝かしい記憶のほうに希望を見出すことになると感じています。
「一瞬の喜びや達成感がもたらす効果は生活の質という点では、その後に測定する効果と同じくらい重要なものである。」とメンタルヘルス・ファウンデーション(2012年)にあるように、過去の記憶に一瞬でも喜びを感じることが出来れば、生活のなかで感じる不安や動揺を軽減できるという実例があります。

・社交の機会を与えてほしい。
→箏回想法は復興庁心の復興事業で「高齢者の居場所創出の手段」として活用されました。これをきっかけに今後も高齢者の社交の機会創出を目指します。

・言葉が通用しないとき、あらゆる感覚を使って想いや気持ちを伝えられるようにしてほしい。
→失語症のためコミュニケーションを取りたがらなかった女性が、涙ながらに筆談で感想を伝えてくれたことをきっかけに明るくおしゃべりになったというアートの力を象徴するような実例があります。

・明日が楽しみになる何か、生きる価値があると思わせてくれる喜びや楽しみを与えてほしい。
→箏回想法の参加者に対する最終目標は感謝です。感謝することが出来た方は口を揃えてこう話します。「スッキリした!!」「明日から頑張れそう!!!」生きる価値を感じることが最も重要だとわかるご感想です。

・アートを提供してほしい。
介護を受けることが出来るだけでは「有意義」とは言えません。アートに触れる機会を提供し、高齢者の皆様には認知症でありながらより良い人生を歩んでいただきたいと思っています。

海を越えたイギリスの地での実践事例を聴かせていただいたこと、またその高齢者への純粋な思いに触れ、大変感動して帰宅致しました。

非常に充実した時間をありがとうございました。

 

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